インターネットを使ったビジネスが当たり前になった今、Webサイトやソーシャルメディアを使って新しいお客様を集める「Web集客」はとても重要です。しかし、「どうやって効果的にWeb集客を行えばいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
Web集客を成功させるためには、「フレームワーク」と呼ばれる考え方の枠組みを活用することがおすすめです。フレームワークを使うことで、「何をすればいいのか」「どうやって進めればいいのか」が明確になり、効率的に成果を出せるようになります。
この記事では、Web集客戦略に役立つ9つのフレームワークを、中学生でも理解できるようにわかりやすく説明します。これからWeb集客に取り組む方はもちろん、すでに取り組んでいるけどなかなか成果が出ない方も、ぜひ参考にしてみてください。
1. Web集客におけるフレームワークとは
フレームワークとは「枠組み」や「骨組み」という意味で、物事を整理して考えるための「型」のようなものです。料理のレシピや学校の時間割表も、広い意味ではフレームワークと言えます。
Web集客では、お客様がどのように行動するか、自社の強みは何か、競合との差別化をどうするかなど、複雑な要素を整理して考える必要があります。そんなとき、フレームワークを使うと以下のようなメリットがあります:
- 考え方に「抜け・漏れ・ダブり」が少なくなるため、効率的に分析できる
- チームで共通の視点を持てるので、意思疎通がスムーズになる
- 過去の成功事例から体系化された方法なので、成功確率が高まる
- 初心者でも一定レベル以上の分析や企画ができる
では、具体的にどのようなフレームワークがあるのでしょうか。以下では、「現状分析」「戦略立案」「実行と改善」という3つの段階に分けて、9つのフレームワークをご紹介します。
2. 現状分析のためのフレームワーク
Web集客を始める前に、まずは「今どういう状況なのか」を正しく理解することが大切です。自社や市場の現状をきちんと分析することで、効果的な戦略を立てることができます。ここでは、現状分析に役立つ5つのフレームワークを紹介します。
2-1. MECE(ミーシー):漏れなく・ダブりなく考える
MECE(ミーシー)は「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、日本語では「相互に排他的で全体として漏れがない」という意味です。簡単に言うと、「漏れなく・ダブりなく」物事を整理する考え方です。
MECEの具体例
①漏れがある例
「Webサイト経由の集客方法」を「SEO対策」「SNS活用」「メールマガジン」に分類すると、「リスティング広告」などが抜けています。
②ダブりがある例
「Webサイト経由の集客方法」を「SEO対策」「SNS活用」「無料の集客方法」に分類すると、SEO対策や一部のSNS活用は無料でもできるため、分類が重複しています。
Web集客戦略を立てるときは、このMECEの考え方を基本として、次に紹介する各フレームワークを活用すると効果的です。
2-2. 3C分析:自社・顧客・競合を分析する
3C分析は、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点から市場環境を分析するフレームワークです。
Customer(顧客) |
|
---|---|
Competitor(競合) |
|
Company(自社) |
|
3C分析を行うことで、「誰に」「何を」「どのように」提供するかの基本方針が明確になります。例えば、顧客分析で「30代の共働き夫婦が時間がなくて悩んでいる」ことがわかれば、「時短」をアピールするWeb集客が効果的かもしれません。
2-3. SWOT分析:強み・弱み・機会・脅威を整理する
SWOT分析は、内部環境の「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」と、外部環境の「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」を分析するフレームワークです。
Strength(強み) |
自社の優れている点、競合に勝っている点 例:独自技術、専門知識、低価格、高品質など |
---|---|
Weakness(弱み) |
自社の劣っている点、改善すべき点 例:知名度不足、サポート体制の弱さ、高コストなど |
Opportunity(機会) |
市場環境の中で自社にとってプラスになる要素 例:市場拡大、新技術登場、競合の撤退など |
Threat(脅威) |
市場環境の中で自社にとってマイナスになる要素 例:新規参入企業の増加、技術の陳腐化、規制強化など |
SWOT分析を行うと、「強みを活かして機会を掴む」「弱みを克服して脅威を回避する」など、状況に応じた戦略の方向性が見えてきます。Web集客では、自社の強みをWebサイトやSNSで効果的に伝えることが重要です。
2-4. PEST分析:マクロ環境を分析する
PEST分析は、「Political(政治的要因)」「Economic(経済的要因)」「Social(社会的要因)」「Technological(技術的要因)」の4つの視点から、マクロ環境を分析するフレームワークです。
- Political(政治的要因):法律や規制、政策の変化など
- Economic(経済的要因):景気動向、為替変動、市場成長率など
- Social(社会的要因):人口動態、ライフスタイルの変化、価値観の変化など
- Technological(技術的要因):新技術の登場、デジタル化の進展など
PEST分析は、特に大きな環境変化がある場合や、新規事業に取り組む場合に有効です。例えば、「スマートフォンの普及」という技術的要因があれば、「モバイルフレンドリーなWebサイト」が重要になります。
2-5. 5フォース分析:業界構造を理解する
5フォース分析は、マイケル・ポーターが提唱した、業界の競争環境を5つの視点から分析するフレームワークです。
- 業界内の競合:同業他社との競争状況
- 新規参入の脅威:新しい競合が参入してくる可能性
- 代替品の脅威:別の製品・サービスに置き換えられる可能性
- 売り手(供給業者)の交渉力:仕入先や協力会社の影響力
- 買い手(顧客)の交渉力:顧客の影響力
5フォース分析を行うことで、「どの業界で戦うべきか」「その業界ではどのように差別化すべきか」が明確になります。Web集客では、競合が少ないキーワードを見つけたり、代替品と比較した自社の優位性をアピールしたりすることに役立ちます。
3. 戦略立案のためのフレームワーク
現状分析ができたら、次は「どのように集客するか」の戦略を立てましょう。ここでは、戦略立案に役立つ3つのフレームワークを紹介します。
3-1. 4C分析:顧客視点で考える
4C分析は、「Customer Value(顧客価値)」「Cost(コスト)」「Convenience(利便性)」「Communication(コミュニケーション)」の4つの視点から、マーケティング戦略を考えるフレームワークです。
4C分析の視点
①Customer Value(顧客価値)
顧客にとってどんな価値があるのか?どんな悩みを解決できるのか?
②Cost(コスト)
顧客が支払う金額だけでなく、時間や手間も含めたコストは適切か?
③Convenience(利便性)
顧客が簡単に購入・利用できるか?アクセスや使い方は簡単か?
④Communication(コミュニケーション)
顧客とどのように対話するか?情報をどのように伝えるか?
4C分析の特徴は、「企業側の視点」ではなく「顧客側の視点」で考えることです。Web集客では、「お客様がどんな情報を求めているか」を考え、有益なコンテンツを提供することが重要です。
3-2. STP分析:ターゲットを絞り込む
STP分析は、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3つのステップで、効果的なマーケティング戦略を立てるフレームワークです。
Segmentation (セグメンテーション) |
市場を細分化する 例:年齢、性別、職業、地域、興味関心など |
---|---|
Targeting (ターゲティング) |
最も狙うべき市場を選ぶ 例:「30〜40代の共働き夫婦」に絞る |
Positioning (ポジショニング) |
競合と差別化する 例:「初心者でも簡単に使える」と位置づける |
STP分析の重要なポイントは、「すべての人に向けた集客」ではなく「特定のターゲットに向けた集客」を行うことです。Web集客では、ターゲットが使いそうなキーワードでSEO対策したり、ターゲットが集まるSNSで情報発信したりするのが効果的です。
3-3. AISAS/AIDMA:顧客の購買行動を理解する
AISAS(アイサス)とAIDMA(アイドマ)は、顧客がどのように商品・サービスを認知して購入に至るかを表すフレームワークです。
AISAS:インターネット時代の購買行動モデル
- Attention(注意):広告や検索などで知る
- Interest(興味):興味を持つ
- Search(検索):インターネットで詳しく調べる
- Action(行動):購入する
- Share(共有):SNSなどで感想を共有する
AIDMA:従来の購買行動モデル
- Attention(注意):広告などで知る
- Interest(興味):興味を持つ
- Desire(欲求):欲しいと思う
- Memory(記憶):記憶に残る
- Action(行動):購入する
インターネットが発達した現代では、AISASのモデルがより重要です。Web集客では、「検索されやすいコンテンツ作り」や「シェアされやすい仕掛け」が効果的です。
4. 実行と改善のためのフレームワーク
戦略を立てたら、実際に行動して、結果を見ながら改善していくことが大切です。ここでは、実行と改善に役立つフレームワークを紹介します。
4-1. PDCAサイクル:計画→実行→評価→改善のサイクル
PDCAサイクルは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのステップを繰り返し、継続的に改善していくフレームワークです。
Plan(計画) |
目標を設定し、達成するための計画を立てる 例:3ヶ月でWebサイトのアクセス数を2倍にするために、週2回ブログを更新する |
---|---|
Do(実行) |
計画に沿って実際に行動する 例:計画通りにブログを更新する |
Check(評価) |
結果を測定し、計画どおりに進んでいるか確認する 例:アクセス解析ツールでブログの反応を確認する |
Action(改善) |
結果をもとに、次の計画を調整する 例:反応の良かったテーマを増やし、反応の悪かったテーマを見直す |
PDCAサイクルの重要なポイントは、「一度やって終わり」ではなく「繰り返し改善していく」ことです。Web集客は、最初から完璧にできることはほとんどありません。少しずつ改善していくことで、徐々に成果が出てきます。
5. フレームワークを効果的に活用するポイント
これまで9つのフレームワークを紹介してきましたが、全てを一度に使う必要はありません。状況に応じて適切なフレームワークを選び、効果的に組み合わせることが大切です。以下に、フレームワークを活用する際のポイントをまとめます。
5-1. 目的に合わせてフレームワークを選ぶ
フレームワークは、使う目的によって適切なものが異なります。
- 現状を把握したい:3C分析、SWOT分析
- ターゲットを明確にしたい:STP分析
- 差別化ポイントを見つけたい:5フォース分析、4C分析
- コンテンツ戦略を立てたい:AISAS/AIDMA
- 継続的に改善したい:PDCAサイクル
5-2. 複数のフレームワークを組み合わせる
1つのフレームワークだけでは、カバーできない視点があります。複数のフレームワークを組み合わせることで、より幅広い視点から戦略を立てることができます。
例えば、以下のような流れで分析・戦略立案を行うと効果的です:
- 3C分析で市場環境を把握する
- SWOT分析で自社の強み・弱みを明確にする
- STP分析でターゲットを絞り込む
- AISASを参考にしてコンテンツ戦略を立てる
- PDCAサイクルで継続的に改善する
5-3. 数値目標を設定する
フレームワークを使って戦略を立てる際は、具体的な数値目標を設定することが重要です。
数値目標の例
①ウェブサイトのアクセス数
月間10,000PVを達成する
②お問い合わせ数
月間問い合わせ数を現在の10件から30件に増やす
③SNSのフォロワー数
Instagramのフォロワーを3ヶ月で2,000人増やす
数値目標があることで、「何を改善すべきか」「どの施策が効果的だったか」が明確になります。
6. まとめ:Web集客フレームワークの活用で成果を上げよう
この記事では、Web集客戦略に役立つ9つのフレームワークを紹介しました。
- 現状分析:MECE、3C分析、SWOT分析、PEST分析、5フォース分析
- 戦略立案:4C分析、STP分析、AISAS/AIDMA
- 実行と改善:PDCAサイクル
Web集客を成功させるためには、「とりあえずSNSを始める」「とにかくブログを書く」といった場当たり的な対応ではなく、フレームワークを活用して戦略的にアプローチすることが重要です。
また、Web集客は一度やって終わりではありません。市場環境や顧客ニーズは常に変化するため、定期的に分析を行い、戦略を見直すことが必要です。PDCAサイクルを回しながら、継続的に改善していきましょう。
フレームワークは「使うこと自体が目的」ではなく、「成果を上げるための道具」です。自社の状況に合わせて柔軟に活用し、効果的なWeb集客を実現してください。
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