インターネット広告の世界では、「リスティング広告」と「リターゲティング広告」という2つの広告手法がよく使われています。どちらもWeb上で商品やサービスを宣伝するための方法ですが、その仕組みや特徴、効果的な使い方には大きな違いがあります。
この記事では、マーケティングの知識がない方でも理解できるように、それぞれの広告の特徴と違いについて詳しく解説します。
リスティング広告とリターゲティング広告の基本的な違い
まずは、この2つの広告の基本的な違いを見てみましょう。
項目 | リスティング広告 | リターゲティング広告 |
表示される場所 | 検索エンジンの検索結果ページ | Webサイトやアプリの広告枠 |
表示されるタイミング | ユーザーが特定のキーワードで検索したとき | 過去に自社サイトを訪れたユーザーがWEB閲覧中 |
ターゲット層 | 顕在層(今すぐ欲しい、探している人) | 潜在層+興味を持った人(サイト訪問者) |
広告の形式 | 主にテキスト形式 | 画像・動画・テキストなど多様 |
主な目的 | 即時のコンバージョン獲得 | サイト離脱者の呼び戻し、購入促進 |
リスティング広告とは?検索意図を持ったユーザーにアプローチする広告
リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページに表示されるテキスト形式の広告です。ユーザーが検索エンジンで特定のキーワードを入力すると、その検索結果ページの上部や下部に広告が表示されます。このタイプの広告は「検索連動型広告」とも呼ばれています。
簡単に言うと:
「知りたいことを検索したら出てくる広告」です。例えば「スニーカー 人気」と検索すると、スニーカーを売っているお店の広告が表示されます。
リスティング広告の特徴
- ユーザーの検索意図に直接応えることができる
- 「今すぐ情報が欲しい」「比較検討している」など顕在層へのアプローチに強い
- キーワードを設定して広告を出稿する(キーワード選定が重要)
- クリック課金制(CPC:Cost Per Click)で、広告がクリックされるごとに料金が発生
- テキスト主体の広告フォーマットで視覚的インパクトは限定的
リスティング広告の仕組み
リスティング広告は、以下のような流れで表示されます:
- 広告主が特定のキーワードに対して広告出稿の設定をする
- ユーザーがそのキーワードで検索する
- 検索結果ページに広告が表示される
- ユーザーが広告をクリックすると広告主に課金される
- クリック後、ユーザーは広告主のランディングページに誘導される
リスティング広告はユーザーが「何か」を探している状態でアプローチできるため、コンバージョン率が高くなる傾向があります。キーワードの選定と広告文の作成が成功の鍵です。
リターゲティング広告とは?サイト訪問者を追いかける広告
リターゲティング広告は、過去にあなたのWebサイトを訪れたユーザーに対してだけ表示される広告です。いわば「追いかける広告」で、ユーザーが別のWebサイトを閲覧しているときに表示されます。Googleではリマーケティング広告とも呼ばれることがあります。
簡単に言うと:
「一度見た商品が、他のサイトを見ているときに広告として出てくる」という経験はありませんか?それがリターゲティング広告です。
リターゲティング広告の特徴
- 一度サイトを訪問した見込み客にピンポイントでアプローチできる
- バナー広告や動画広告など、視覚的な訴求が可能
- サイトの訪問履歴を元に広告を表示(Cookie利用)
- CPCまたはCPM(インプレッション課金)で料金が発生
- ユーザーの行動履歴に基づいた配信ができる
リターゲティング広告の仕組み
リターゲティング広告は、以下のような流れで機能します:
- 自社のウェブサイトに広告タグ(コード)を設置する
- ユーザーがサイトを訪問するとCookieが発行される
- ユーザーが別のサイトを訪れた際に、Cookieの情報を元に広告を表示
- 広告がクリックされるか表示されると課金が発生
- クリック後、ユーザーは再び広告主のサイトに戻ってくる
リターゲティング広告はすでに自社の商品・サービスに興味を持ったユーザーに再アプローチできるため、通常の広告よりも高いコンバージョン率が期待できます。ただし、表示頻度の調整が重要です。
Cookie(クッキー)とリターゲティング広告の関係
リターゲティング広告の仕組みを理解するためには、Cookieの知識が欠かせません。
Cookieとは?
Cookieとは、ウェブサイトがユーザーのブラウザに保存する小さなテキストファイルです。これにより、サイトはユーザーを識別したり、設定を記憶したりすることができます。
リターゲティング広告では特に「サードパーティCookie」が重要です:
- ファーストパーティCookie:訪問したサイト自身が発行するCookie
- サードパーティCookie:訪問したサイト以外の第三者(広告配信事業者など)が発行するCookie
リターゲティング広告は主にサードパーティCookieを利用して、ユーザーが異なるサイト間を移動しても追跡できるようにしています。
Cookie規制とリターゲティング広告の今後
2025年現在、プライバシー保護の観点からサードパーティCookieへの規制が強化されています。Google ChromeもサードパーティCookieの段階的廃止を発表しており、リターゲティング広告の手法は変化しつつあります。
今後は以下のような対応が重要になるでしょう:
- ファーストパーティデータ(自社で直接収集した顧客データ)の活用
- メールアドレスなどの顧客情報を使ったカスタマーマッチ
- 代替技術の活用(FLoCなどのプライバシー保護型の広告技術)
リスティング広告とリターゲティング広告のメリット・デメリット
それぞれの広告には独自のメリットとデメリットがあります。効果的な広告戦略を立てるためには、これらを理解することが重要です。
リスティング広告のメリット
- 顕在層へのピンポイントアプローチができる
- 購入や問い合わせなどのコンバージョンに直結しやすい
- すぐに効果が出やすい(即効性が高い)
- 検索意図に合わせた広告配信で効率的
リスティング広告のデメリット
- キーワードによってはクリック単価が高額になることも
- 検索ボリュームに依存するため、リーチ数に限界がある
- 視覚的なブランドイメージを伝えにくい
- 競争が激しいキーワードでは上位表示が難しい
リターゲティング広告のメリット
- すでに興味を示したユーザーに効率的にアプローチできる
- 広告のクリック単価が比較的安い傾向にある
- 視覚的な訴求で商品やブランドの印象を強化できる
- 購入を迷っているユーザーの背中を押す効果がある
リターゲティング広告のデメリット
- 新規顧客の獲得には不向き(サイト訪問者のみが対象)
- 配信頻度が高すぎるとユーザーに「しつこい」印象を与える可能性がある
- Cookie規制の影響を受けやすい
- プライバシーに関する懸念がある
効果的な広告戦略:リスティング広告とリターゲティング広告の組み合わせ
リスティング広告とリターゲティング広告は、それぞれ単独でも効果を発揮しますが、組み合わせて使うことでさらに効果的な広告運用ができます。
ユーザー行動に合わせた広告設計
理想的な広告運用フローの例:
- リスティング広告:検索ユーザーをサイトに誘導
- 初回訪問者向けリターゲティング:サービス認知や特徴を伝える広告を表示
- 商品閲覧者向けリターゲティング:閲覧した商品の詳細情報や特典を訴求
- カート放棄者向けリターゲティング:特別クーポンなどでコンバージョンを促進
予算配分と効果測定
予算配分の目安としては、以下のような方法が考えられます:
- 初期段階:リスティング広告に重点(70%)、リターゲティング広告(30%)
- データが溜まってきたら:効果が高い方に予算をシフト
- 季節性やキャンペーン時期に応じて調整
効果測定においては、以下の指標を確認することが重要です:
指標 | リスティング広告 | リターゲティング広告 |
クリック率(CTR) | 2〜5%が目安 | 0.1〜0.5%が目安 |
コンバージョン率(CVR) | 業種による(1〜5%程度) | 通常はリスティング広告より高い |
費用対効果(ROAS) | 即効性を重視 | 中長期的な効果も考慮 |
まとめ:目的に合わせた広告選びが成功の鍵
リスティング広告とリターゲティング広告、それぞれに特徴があり、ビジネスの目的によって使い分けることが重要です。
- リスティング広告:即効性が求められる場合や、検索意図が明確なユーザーを獲得したい場合に効果的
- リターゲティング広告:一度接点を持ったユーザーの購入を促進したい場合や、ブランド認知を強化したい場合に効果的
最適な広告戦略は、両方の広告をユーザーの購買行動に合わせて組み合わせることです。自社のビジネスモデルやターゲット層に合わせて、適切な配信設計と継続的な運用改善を行うことが、成功への近道となるでしょう。
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