リスティング広告における除外依頼への対応は、日本とアメリカで大きく異なります。日本では「和」を重んじる文化から約70%の企業が紳士協定に応じる一方、アメリカでは競争至上主義により除外依頼を拒否するのが一般的です。
本記事では、マーケティングの本場アメリカと日本の文化的違いについて、具体的な事例を交えながらわかりやすく解説します。
リスティング広告の除外依頼とは何か
リスティング広告の除外依頼とは、競合他社が自社のブランド名や商品名をキーワードとして広告を出稿している際に、そのキーワードを広告から除外してもらうよう依頼することです。
例えば「ナイキ」と検索した時に、アシックスの広告が表示される状況で、ナイキがアシックスに対して「ナイキ」というキーワードでの広告出稿をやめてもらうよう依頼することを指します。
競合入札が起こる理由
企業が競合他社のブランド名に広告を出稿する理由は以下の通りです。
- 競合他社に興味を持つユーザーに自社商品をアピールできる
- 市場シェアの拡大を狙える
- 競合他社の顧客を獲得する機会を得られる
- ブランド認知度の向上につながる
日本における除外依頼への対応文化
日本では、競合他社からの除外依頼に対して約70%の企業が応じるという特徴的な文化があります。
和を重んじる日本の特徴
対応パターン | 割合 | 理由 |
---|---|---|
除外依頼に応じる | 約70% | 揉め事を避けたい、世間体を気にする |
拒否または無視 | 約30% | ビジネス戦略上の理由 |
日本企業が除外依頼に応じる理由
- 法的トラブルの回避:裁判などの面倒な手続きを避けたい
- 業界内での評判維持:「他社のキーワードに頼るほど困っている」と思われたくない
- 和を重んじる文化:競合同士でも協調性を保ちたい
- コスト削減:競合入札による単価上昇を避けたい
「貴社のサービス検索時に弊社の広告が表示されており誠に申し訳ございません。今後は入札を停止いたします」といった丁寧な対応が一般的で、競合企業同士でもほっこりするやりとりが発生することが多いです。
アメリカにおける除外依頼への対応文化
一方、アメリカでは除外依頼を拒否するのが一般的で、競争を徹底的に追求する文化があります。
競争至上主義のアメリカ
アメリカでは以下のような考え方が主流です。
- 自由競争こそが市場発展の原動力
- 法的に問題がなければ何をしても構わない
- ビジネスでは勝者と敗者がはっきり分かれるべき
- 競合他社への配慮は不要
実際のアメリカ企業の対応例
アメリカの広告運用者による除外依頼への回答例:
“I told them in no uncertain terms to fuck off”
(和訳:はっきりと「くたばれ」と丁寧に言いました)
このように、アメリカでは除外依頼に対して非常に攻撃的で好戦的な対応が珍しくありません。
具体的な競合広告事例の比較
アメリカの攻撃的な競合広告事例
検索キーワード | 表示される広告 | 広告メッセージ |
---|---|---|
iPhone 6s | Samsung Galaxy S6 | 「Galaxy S6の間違いでしょ?」 |
Asana | Monday.com | 「Monday.comの方が全然いいよ」 |
比較広告の文化的違い
アメリカでは比較広告が法的に認められており、他社と直接比較しながら自社の優位性を主張することが一般的です。一方、日本では比較広告は控えめで、直接的な競合他社への言及は避ける傾向があります。
法的・ポリシー面での違い
Googleのポリシー
Google広告では、両国とも以下のルールが適用されます。
- 競合他社のブランド名への入札自体は違法ではない
- ただし、広告文に他社名を使用するのは禁止
- 商標権侵害に該当する場合は削除対象
- 誤解を招く表現は認められない
法的には競合キーワードへの入札に問題がないため、除外依頼に応じる義務はありません。しかし、文化的な違いにより対応が大きく異なるのが現状です。
文化的背景の分析
なぜこのような違いが生まれるのか
要因 | 日本 | アメリカ |
---|---|---|
社会の価値観 | 和を以て尊しとなす | 個人主義・競争主義 |
ビジネス観 | 協調性重視 | 結果至上主義 |
法的対応 | トラブル回避優先 | 裁判も辞さない |
世間体 | 業界内の評判を重視 | 売上が全て |
資本主義の捉え方の違い
アメリカは残酷なまでの資本主義を追求し、「誰かが勝って誰かが負ける」という自由競争を根本から信仰しています。一方、日本は「やや制御機能のある資本主義」で、過剰な競争を防いだり弱者を守ることを重視する傾向があります。
マーケティング担当者への実践的アドバイス
日本市場での対応策
- 除外依頼を受けた場合は、丁寧な対応を心がける
- 業界内の関係性を考慮して判断する
- 法的リスクと収益性のバランスを検討する
- 長期的なブランドイメージを重視する
アメリカ市場での対応策
- 競合他社からの圧力に屈しない姿勢を保つ
- 法的な正当性を確保した上で積極的に競争する
- 比較広告を効果的に活用する
- 市場シェア拡大を最優先に考える
リスティング広告の除外依頼対応には、日本とアメリカで大きな文化的違いがあります。どちらが正しいということではなく、それぞれの市場の特性を理解して適切な戦略を選択することが重要です。グローバル展開を考える企業は、この文化的違いを十分に理解しておく必要があります。
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