リスティング広告のリターゲティング(リタゲ)とは、過去にあなたのサイトを訪問したことのあるユーザーに対して再度広告を表示する手法です。この手法を使うと、一度興味を持ってくれた見込み客に再びアプローチすることができ、成約率を高めることができます。
この記事では、リターゲティング広告の仕組みやメリット・デメリット、効果的な活用方法について中学生にもわかるように解説します。
リターゲティング広告の基本概念
リターゲティング広告(略して「リタゲ」)とは、一度あなたのウェブサイトを訪れたユーザーに対して、再度広告を表示する手法です。例えば、あるオンラインショップで靴を見ていたけれど、購入はせずにサイトを離れたとします。その後、他のウェブサイトやSNSを見ていると、ちょうど見ていた靴の広告が表示されるという経験はありませんか?これがリターゲティング広告です。
このような広告は、ユーザーが既に興味を示している商品やサービスに対して再度アプローチできるため、新しいユーザーに広告を表示するよりも効果が高いことが多いです。
リターゲティング広告は「リマーケティング広告」とも呼ばれます。Google広告では「リマーケティング」、最近では「データセグメント」という呼び方をしています。Facebook広告では「ウェブサイトカスタムオーディエンス」と呼ばれるなど、広告媒体によって名称が異なることがあります。
リターゲティング広告の仕組み
リターゲティング広告がどのようにして機能するのか、その仕組みを説明します。
1. 広告タグの設置
まず、サイト運営者はウェブサイトに特別なコード(広告タグ)を設置します。このタグはサイト訪問者のブラウザに「Cookie(クッキー)」と呼ばれる小さなデータを保存します。
2. ユーザーの訪問とCookieの付与
ユーザーがウェブサイトを訪れると、そのブラウザにCookieが保存されます。このCookieは、そのユーザーがサイトを訪れたという記録を残します。
3. リストの作成
広告主は、サイトを訪れたユーザーのCookieデータをもとに「リスト」を作成します。このリストには、サイト全体の訪問者や、特定のページを見た人、商品を購入した人などを区別して登録することができます。
4. 広告の配信
ユーザーが他のウェブサイトを訪れた際、そのサイトに広告枠があれば、Cookieデータを参照して、過去にあなたのサイトを訪れたユーザーだと判断された場合に広告が表示されます。
ステップ | 内容 |
---|---|
1. タグの設置 | ウェブサイトに広告タグを埋め込む |
2. Cookie付与 | ユーザーのブラウザにCookieを保存 |
3. リスト作成 | 訪問データをもとにユーザーリストを作成 |
4. 広告配信 | リストに入ったユーザーに広告を表示 |
リターゲティング広告のメリット
リターゲティング広告には、以下のような主要なメリットがあります。
- ブランドを想起させることができる
- 購入やお問い合わせが増加する
- リピート購入につなげることができる
ブランドを想起させる効果
リターゲティング広告は、ユーザーに自社ブランドを再び想起させる効果があります。一度軽い気持ちでウェブサイトに来訪したユーザーは、自社ブランドにそこまで高い関心を持っていないこともあります。
そんなユーザーには、リターゲティング広告で繰り返し訴求をすることで、自社ブランドを印象付けることが可能です。人は「単純接触効果」という心理により、繰り返し見るものに対して親近感を抱き、好感度が高まるという傾向があります。
購入やお問い合わせの増加
リターゲティング広告は、購入やお問い合わせの数を増やすことができます。多くのユーザーは、商品やサービスを一度見ただけではすぐに購入を決めません。比較検討をするため、いくつかのサイトを見比べることが一般的です。
特に高額な商品や法人向けサービスでは、検討期間が長くなりがちです。そんな時に、リターゲティング広告でユーザーに再アプローチすることで、購入や問い合わせにつながりやすくなります。
リピート購入を促進する効果
リターゲティング広告は、既に購入した顧客に対しても有効です。例えば、一度購入したユーザーに対して、関連商品や定期購入を促す広告を表示することで、リピート購入を促すことができます。
新規顧客を獲得するよりも、既存顧客にリピート購入してもらうほうがコストが低く、効率的なことが多いです。リターゲティング広告を使えば、顧客のニーズに合わせた提案ができるため、顧客満足度も高まります。
リターゲティング広告のデメリット
メリットがある一方で、リターゲティング広告にはいくつかの注意点やデメリットもあります。
- 新規ユーザーに向けた広告配信には向いていない
- ユーザーに嫌悪感を与える可能性がある
新規ユーザーには効果がない
リターゲティング広告は、自社ウェブサイトへ来訪したユーザーに対する広告配信の手法となるため、新規ユーザーに向けた広告配信を行うことができません。そのため、新規ユーザーを獲得したい場合は、リターゲティング広告以外の手法で広告を配信する必要があります。
例えば、検索広告やディスプレイ広告、SNS広告などを組み合わせて、新規ユーザーへのアプローチも並行して行うことが大切です。
ユーザーに嫌悪感を与える可能性
リターゲティング広告は、商品・サービスを知っている人に対して何度も広告が表示されるものなので、ユーザーに嫌悪感を与える可能性は否定できません。
特に、既に商品を購入しているにも関わらず、同じ商品の広告が繰り返し表示されると、ユーザーはうんざりすることもあるでしょう。これは広告費の無駄にもなります。
そのため、広告の表示回数を制限したり、既に購入したユーザーに広告が表示されないように設定するなどの対策が必要です。
リターゲティング広告の表示回数は適切に設定しましょう。一般的に「単純接触効果」は10回程度までが効果的だと言われています。それ以上の表示はユーザーに嫌悪感を与える可能性があるため、広告設定で表示回数(フリークエンシーキャップ)を調整することが重要です。
リターゲティング広告のリスト活用方法
リターゲティング広告を効果的に活用するには、様々なユーザーリストを作成することがポイントです。以下に主な活用方法を紹介します。
サイト訪問者向けのリスト
ウェブサイト全体に広告タグを設置して、サイトを訪れたすべてのユーザーをリスト化する方法です。これが最も基本的なリターゲティングの方法です。
リストは過去何日間にさかのぼるか指定できたり、訪問頻度で絞り込んだりすることも可能です。例えば「過去30日間の訪問者」「2回以上訪問したユーザー」などです。
- セール期間中の訪問者だけにターゲットを絞る
- 長期間サイトに来ていないユーザーに再訪を促す
- 訪問頻度の高いユーザーに特別なオファーを提示する
特定ページ訪問者向けのリスト
サイト内の特定のページを訪れたユーザーだけをリスト化する方法です。例えば、特定の商品ページを見たユーザーや、お問い合わせページまで行ったけれど送信しなかったユーザーなどを別々にリスト化できます。
この方法では、ユーザーの興味に合わせたより具体的な広告を配信することが可能になります。例えば、スポーツシューズのページを見たユーザーには、そのスポーツシューズの広告を表示するといった具体的なアプローチができます。
購入者・非購入者の分類
特にECサイトなどでは、購入に至ったユーザーと至っていないユーザーを区別することが重要です。購入完了ページにタグを設置し、そのページに到達したユーザーを「購入者」としてリスト化します。
購入者には別の商品を提案したり、購入に至らなかったユーザー(「カゴ落ち」したユーザーなど)には特別割引などのインセンティブを提供したりすることで、コンバージョン率を高めることができます。
リストの種類 | 使い方の例 |
---|---|
全サイト訪問者 | ブランド認知向上のための広告配信 |
商品ページ訪問者 | 特定商品の購入を促す広告配信 |
カート追加者(未購入) | 購入を促す特別割引の提供 |
購入完了者 | 関連商品のクロスセル広告配信 |
リターゲティング広告を成功させるポイント
リターゲティング広告を効果的に運用するための主なポイントをご紹介します。
適切なセグメント分けをする
ユーザーの行動や興味に基づいて細かくセグメント分けをすることで、よりパーソナライズされた広告を届けることができます。例えば「商品ページを見ただけのユーザー」と「カートに入れたけど購入しなかったユーザー」では、購買意欲の段階が異なるため、広告メッセージも変える必要があります。
配信頻度を適切に設定する
前述したように、広告の表示回数が多すぎるとユーザーに嫌悪感を与える可能性があります。多くの広告プラットフォームでは「フリークエンシーキャップ」という機能で、一定期間内に同じユーザーに表示する広告の回数を制限することができます。
クリエイティブを工夫する
同じ広告を何度も見せられると、ユーザーは広告に対して「バナーブラインドネス」と呼ばれる無視する傾向を持つようになります。定期的にクリエイティブ(広告のデザインやメッセージ)を変更することで、ユーザーの注目を維持しましょう。
購入者を除外する
既に商品を購入したユーザーに同じ商品の広告を表示し続けることは避けましょう。購入完了ページに到達したユーザーを除外リストに入れるなどの設定をしておくことが重要です。
効果測定と最適化を行う
リターゲティング広告を実施したら、定期的に効果を測定し、改善していくことが大切です。クリック率、コンバージョン率、投資対効果(ROAS)などの指標を確認し、効果の低い広告は停止または改善するようにしましょう。
リターゲティング広告の効果測定では「ROAS(Return On Advertising Spend:広告費用対効果)」という指標がよく使われます。これは「広告経由の売上÷広告費×100(%)」で計算されます。例えば、ROAS200%なら広告費1万円に対して2万円の売上があったことになります。目標ROASを設定して運用すると効果的です。
まとめ:リターゲティング広告を活用して売上アップを目指そう
リターゲティング広告は、一度あなたのサイトを訪れたユーザーに再度アプローチできる効果的な広告手法です。これにより、ブランドの認知度向上、購入率の向上、リピート購入の促進など、様々な効果が期待できます。
ただし、適切なセグメント分けや配信頻度の設定、クリエイティブの工夫など、いくつかのポイントを押さえることが重要です。また、リターゲティング広告だけでなく、新規ユーザー獲得のための広告施策と組み合わせることで、より効果的なマーケティング戦略を構築することができるでしょう。
リターゲティング広告を上手に活用して、見込み客を逃さず、コンバージョン率を高め、売上アップにつなげていきましょう。
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