楽天市場で商品を販売する際、リスティング広告(RPP広告)を活用することで効果的に売上を伸ばすことができます。
この記事では、楽天リスティング広告の基本的な仕組みから効果的な運用方法まで、初心者でも分かりやすく解説します。適切な広告設定で商品の露出を増やし、売上アップを目指しましょう。
楽天リスティング広告(RPP広告)とは
楽天リスティング広告(RPP広告)とは、楽天市場内で検索キーワードと連動して表示される検索連動型の広告です。RPPは「楽天プロモーションプラットフォーム(Rakuten Promotion Platform)」の略称で、ユーザーが楽天市場内で商品を検索した際に、検索結果の上位に表示される仕組みになっています。
RPP広告はユーザーが検索したキーワードに関連する商品を「PR」マークとともに検索結果の上位に表示します。自然検索結果と同じように見えるため、ユーザーからクリックされやすいという特徴があります。
RPP広告の仕組み
RPP広告は基本的に「クリック課金制」と「オークション制」の2つの仕組みで成り立っています。
- クリック課金制:広告が表示されるだけでは費用は発生せず、ユーザーが広告をクリックした時に初めて課金されます。
- オークション制:キーワードに対して設定したクリック単価(CPC)によって、表示順位が決まります。より高い単価を設定すると、上位に表示されやすくなります。
RPP広告の配信ロジックは公開されていませんが、以下の要素が表示順位に影響すると考えられています:
- 商品のCPC(クリック単価)
- 商品の実績(売上件数、売上額、レビュー件数など)
- 商品ページとキーワードの関連性
通常の検索結果との違い
RPP広告は通常の検索結果(自然検索結果)と以下の点で異なります:
項目 | RPP広告 | 通常の検索結果 |
---|---|---|
表示位置 | PCでは上位5枠、スマホでは上位7枠 | RPP広告の下に表示 |
表示方法 | 「PR」マークが付く | マークなし |
表示される条件 | CPC設定と広告費による | 楽天のアルゴリズムによる自然順位 |
費用 | クリックごとに課金 | 無料 |
楽天リスティング広告の効果とメリット
検索上位に表示される
RPP広告の最大のメリットは、検索結果の上位に表示されることです。SEO対策だけで上位表示を狙うと多くの時間とリソースが必要ですが、RPP広告を出稿すれば、すぐに上位表示が可能になります。
検索結果の上位に表示されることで、以下の効果が期待できます:
- 商品ページへのアクセス数の増加
- 購入者数の増加
- 商品やショップの認知度向上
少ない広告予算で始められる
RPP広告は最低クリック単価10円、月予算5,000円から出稿することが可能です。他の楽天広告と比較しても少ない予算で始められるため、広告初心者でも気軽に始めることができます。
広告種類 | 最低予算 |
---|---|
RPP広告 | 5,000円〜 |
楽天市場広告 | 40,000円〜1,200,000円 |
クーポンアドバンス広告 | CPC40円〜+割引額 |
楽天CPA広告 | 売上の20% |
初心者でも運用しやすい
RPP広告は、CPCと月予算を設定するだけで楽天が自動的に運用してくれる仕組みです。ユーザーが検索したキーワードとマッチした商品を、楽天が「商品名」「キャッチコピー」「商品説明文」から自動的に選んで表示させます。
そのため、どんなキーワードをどれくらいのCPCで設定するべきか分からない初心者にとっては、ノウハウがなくても効果的に運用できる点がメリットです。
商品の露出機会を増やせる
商品ごとにキーワードとCPCを個別に設定することで、狙ったキーワードで検索した顧客に効果的にアプローチできます。特に新商品や販売実績の少ない商品は、通常の検索では上位に表示されにくいため、RPP広告を活用することで露出機会を増やすことができます。
楽天リスティング広告の費用とデメリット
費用相場
RPP広告の費用設定は以下の通りです:
- 最低月予算:5,000円〜
- 商品CPC設定:10円〜1,000円
- キーワードCPC設定:40円〜999円(1商品につき10キーワードまで設定可能)
キーワードCPCは、商品CPCよりも優先されます。つまり、キーワード単位で単価を設定すると、そのキーワードで検索された場合は設定したCPCが適用されます。
RPP広告は「入札単価=クリック単価」となっています。設定した金額がそのまま消化されるため、単価設定は慎重に行いましょう。Amazonの広告システムとは異なりますので注意が必要です。
デメリットと注意点
RPP広告を運用する上で以下のデメリットや注意点があります:
- デフォルトの設定では店内全商品が広告の対象:効率よく運用するためには除外商品設定が必要
- 実績がない商品のビッグキーワードは単価が高い:販売実績の少ない商品は高額CPCになりがち
- 予算設定が日別にできない:月間予算のみの設定となり、イベント時に一気に消化されることも
- 設定後の反映に最大24時間必要:すぐに効果が確認できない
楽天リスティング広告の出稿方法
キャンペーン設定
RPP広告の出稿は簡単で、以下の手順で設定できます:
- 楽天RMSメインメニューから「広告・アフィリエイト・楽天大学」を選択
- 「1.広告(プロモーションメニュー)」→「検索連動型広告(RPP)」→「キャンペーン」を選択
- 「キャンペーン名」「ステータス」「継続月予算」「CPC」を設定
キャンペーン名はお客様には見えないため、自社で管理しやすい名前をつけましょう。ステータスは「有効」にすると広告が配信され、「無効」にすると広告の配信が停止されます。
予算とCPC設定
予算とCPCの設定は以下のポイントを押さえましょう:
- 継続月予算:最低5,000円から設定可能。予算はあとから追加できるため、初めて出稿する場合は少ない予算から始めるのがおすすめです。
- CPC(クリック単価):1クリックされる度にかかる単価。CPCを高く設定するほど検索結果上位に表示されやすくなります。
個別に商品やキーワード単位でCPCを設定する場合は、「商品・キーワード設定」のタブから設定します。一度に多くの商品を登録する場合は「一括アップロード」機能を使うと効率的です。
効果を最大化するためのコツ
キーワード選定のポイント
効果的なキーワード選定は、RPP広告の成功の鍵です。以下のポイントを押さえましょう:
キーワードの種類
種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
ビッグキーワード | 1語構成、検索ボリューム大、競合多い | 「スマホ」「靴」「時計」 |
ミドルキーワード | 2語構成、中程度の検索ボリューム | 「スマホ ケース」「靴 メンズ」 |
スモールキーワード | 3語以上構成、検索ボリューム小、競合少ない | 「スマホ ケース 耐衝撃」「靴 メンズ 青」 |
初めてRPP広告を出稿する場合や、販売実績の少ない商品は、スモールキーワードから始めるのがおすすめです。スモールキーワードは競合が少なく、検索上位を狙いやすく、また具体的なニーズを持ったユーザーが検索するため購買率も高い傾向があります。
キーワード候補の探し方
- 楽天サジェスト:楽天市場の検索欄で表示されるサジェストキーワードを参考にする
- 楽天RMSの店舗カルテ機能:自店舗への流入キーワードを確認する
- 競合店舗のキーワード:類似商品を販売している競合のキーワードを参考にする
- サジェストキーワードツール:「ラッコキーワード」などのツールを活用する
- Googleトレンド:検索トレンドや関連キーワードを参考にする
効果的なキーワード設定のコツ
- キーワードを商品名の前半に入れる:検索結果では30文字程度しか表示されないため
- お得感を出す文言を入れる:「SALE」「送料無料」「20%OFF」などの文言で差別化
- イベントやシーズン限定のキーワード:「クリスマス」「バレンタイン」など時期に合わせたキーワード
- 目安CPCより少し低めに設定:無駄な広告費を抑えつつ表示確率を高める
関連性の低いキーワードは使わないようにしましょう。商品と無関係なキーワードを設定すると、クリックされても購入に繋がらず、広告費の無駄になります。また、楽天のルールに違反する可能性もあります。
除外商品の設定
RPP広告はデフォルトの設定では店舗内全商品が広告の対象となります。広告費を無駄に消化しないために、除外商品の設定は必ず行いましょう。
除外すべき商品の例:
- 転換率(CVR)が低い商品
- 利益率の低い商品
- 単価が低い商品
- 在庫切れの商品や項目選択肢の中に一部在庫切れがある商品
パフォーマンスレポートの分析と改善
RPP広告の配信結果は「パフォーマンスレポート」でチェックできます。RMSメインメニューの「広告・アフィリエイト・楽天大学」→「検索連動型広告(RPP)」→「パフォーマンスレポート」から確認できます。
パフォーマンスレポートで特に注目すべき項目は以下の4つです:
- CPC実績:実際にクリックごとに発生したコスト
- CVR(コンバージョン率):広告クリック数に対する購入数の割合
- ROAS(広告費用対効果):広告費に対する売上の割合
- 注文獲得単価:1注文を獲得するのにかかった広告費
パフォーマンスレポートを分析する際のコツは以下のとおりです:
- オートフィルタをかけ、広告費(実績額)が多くかかっている順に並び替える
- ROASが低い商品は入札単価を下げるか、商品の除外設定を行う
- クリック数が多くて売上に繋がっていない商品は、入札単価を下げるか、除外設定を行う
- ROASは高いが広告費(実績額)が少ない商品は入札単価を上げてみる
また、楽天では「合計12時間」と「合計720時間」の2種類の集計結果が表示されますが、分析やチューニングを行う際は「合計720時間」(30日間)を見ることをおすすめします。楽天ユーザーは商品ページを閲覧し、イベントのタイミングなど後日に購入するケースが多いためです。
イベント時の活用法
スーパーSALEやお買い物マラソンなどの楽天のイベント時は、RPP広告を特に効果的に活用できます。以下のポイントを押さえましょう:
- イベント前に設定を調整:イベント開始後はCPCが高騰するため、余裕をもって事前に設定
- 魅力的なオファー(楽天ポイント、クーポンなど)を用意:イベント時はポイント重視のユーザーが多い
- 普段動きにくい高単価商品を強化:イベント時は高単価商品も購入されやすい傾向
- イベントやシーズン限定のキーワードを活用:時期に合わせたキーワード設定
特にイベント時は1点でも高単価商品が売れるとROASが大きく改善されるチャンスです。普段は動きにくい高単価商品にも広告予算を配分してみましょう。
RPP広告成功事例
以下は、実際にRPP広告の運用を改善した事例です:
食品(珈琲豆)を取り扱っているA社の事例
課題:広告費用対効果(ROAS)が低く、無駄な広告費がかかっていた
対策:
- ROASの低い商品を除外設定
- CVRの高い商品に広告予算を集中
- 競合調査に基づくキーワード設定の最適化
- 検索順位とCPCの関係を分析し、CPCを調整
結果:ROASが180%から320%に改善し、広告経由売上が前年比120%アップ
この事例から分かるように、ただ広告を出すだけでなく、データに基づいた改善を続けることで広告効果を大きく高めることができます。パフォーマンスレポートを定期的に分析し、CPCの調整や除外商品の見直しを行いましょう。
まとめ
楽天リスティング広告(RPP広告)は、検索上位表示を狙える効果的な広告手法です。少ない予算から始められ、クリック課金制なので初心者でも比較的リスクを抑えて運用できます。
効果的なRPP広告運用のポイントをまとめると:
- スモールキーワードから始める:競合が少なく、購買意欲の高いユーザーにアプローチできる
- 適切な除外商品設定:ROASの低い商品は除外し、広告費の無駄を防ぐ
- 定期的なパフォーマンス分析:データに基づいてCPCの調整や商品の見直しを行う
- キーワード設定の工夫:商品名の前半にキーワードを入れる、お得感を出す文言を使うなど
- イベント時の戦略的活用:事前にCPCを調整し、高単価商品も積極的に出稿する
RPP広告は適切に運用すれば、売上拡大に大きく貢献する強力なツールです。この記事で紹介したコツを参考に、自社の商品に合った最適な広告運用を行ってみてください。
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