リスティング広告を運用していると、「なかなか思うような成果が出ない」「数字をどう分析すれば良いのか分からない」と悩むことはありませんか?実は、キャンペーンの分け方ひとつで数字の見え方が大きく変わり、分析の精度も向上します。
この記事では、キャンペーン構造の設計がデータ分析にどう影響するのか、そして成果を最大化するための具体的な方法を解説します。
リスティング広告のキャンペーン構造とは
リスティング広告では、アカウント・キャンペーン・広告グループ・キーワード・広告の5つの階層で構成されています。この中でも「キャンペーン」は予算やターゲティングを設定する重要な単位です。
リスティング広告のアカウント構造は「箱」をイメージすると理解しやすいです。一番大きな箱がアカウント、その中にキャンペーン、さらにその中に広告グループ、キーワード、広告が入っています。
アカウント構造の基本
階層 | 役割 | 設定できる主な内容 |
---|---|---|
アカウント | 広告運用全体の管理単位 | ログイン情報、支払い設定など |
キャンペーン | 予算や配信設定の単位 | 日予算、配信地域、配信時間、入札戦略 |
広告グループ | 同じテーマのキーワードと広告の集まり | 入札単価、ターゲティング |
キーワード | 広告表示のトリガーとなる単語 | マッチタイプ、入札単価 |
広告 | 実際に表示される広告文 | タイトル、説明文、リンク先URL |
キャンペーン分け方の基準と数字分析への影響
キャンペーンの分け方には様々な基準がありますが、分け方によって数字の見え方や分析の精度が大きく変わります。以下に主な分け方とその影響を解説します。
プロモーション費用による分け方
異なる予算を持つ商品やサービスごとにキャンペーンを分けると、それぞれの広告費を独立して管理できます。
たとえば1つのサイトで複数の商品を扱っている場合、各商品のプロモーション費用が異なるなら、キャンペーン単位で分けて予算を個別管理することで、費用対効果を正確に測定できます。
ターゲット別の分け方
異なるターゲットオーディエンスに対しては、それぞれ別のキャンペーンを作成することで、ターゲットごとの反応や成果を明確に把握できます。
例えば、実店舗とオンラインショップを併設している場合:
- 実店舗向け:地域ターゲティングをメインにした来店促進広告
- オンラインショップ向け:地域に関係なく全国に配信する通販促進広告
配信時間による分け方
特定の時間帯や曜日に広告効果が高い場合は、時間帯ごとにキャンペーンを分けることで、効率的な予算配分が可能になります。
セールやイベントなど期間限定の施策がある場合は、別キャンペーンを作成することで、通常の広告とは別に予算や効果を管理できます。
最新のGoogle広告アルゴリズムに適したキャンペーン設計
Google広告のアルゴリズムは常に進化しています。2025年現在のトレンドは「機械学習の効率化」です。以前は細かくキャンペーンを分けることが推奨されていましたが、現在は以下のような設計が効果的です。
キャンペーンはシンプルにまとめる
現在のGoogle広告では、キャンペーンをできるだけ1つにまとめて運用することで、機械学習が促進され、最適化されやすくなります。データが一箇所に集まることで、AIがより正確に学習できるようになるのです。
ただし、以下の場合にはキャンペーンを分けることも検討すべきです:
- 検索/ディスプレイ/動画など配信ネットワークが異なる場合
- 配信地域を明確に分ける必要がある場合
- 日額予算で管理を分ける必要がある場合(指名キャンペーンと一般キャンペーンなど)
広告グループもシンプルにまとめる
広告グループも同様に、できるだけシンプルにまとめることで、機械学習の効率が高まります。以前は「1広告グループに1キーワード」という考え方もありましたが、現在は関連性の高いキーワードをまとめて1つの広告グループにすることが推奨されています。
マッチタイプはインテントマッチを活用
キーワードのマッチタイプは、インテントマッチ(旧:部分一致)を基本とすることで、より広い範囲での広告表示が可能になります。以前は完全一致やフレーズ一致を細かく使い分けていましたが、現在のGoogle広告では、インテントマッチを中心に設定することが効率的です。
マッチタイプ | 設定方法 | 広告表示の範囲 |
---|---|---|
インテントマッチ | そのまま入力 例:リスティング広告 |
関連する検索語句に幅広く表示 例:リスティング 広告、リスティング広告 費用 |
フレーズ一致 | 引用符で囲む 例:”リスティング広告” |
フレーズを含む検索語句 例:効果的なリスティング広告、リスティング広告の費用 |
完全一致 | 角括弧で囲む 例:[リスティング広告] |
設定したキーワードとほぼ同じ検索語句 例:リスティング広告、リスティングの広告 |
効果的な予算配分とデータ分析
キャンペーン分けを適切に行うことで、予算の無駄を減らし、効果的な配分が可能になります。以下にポイントを解説します。
インプレッションシェア損失率の最小化
「インプレッションシェア損失率(予算)」とは、予算不足が原因で広告が表示されなかった割合のことです。この数値が高いと、表示されるべき広告が予算不足で表示されていないことを意味します。
キャンペーンを分けすぎると、各キャンペーンの予算が少なくなり、インプレッションシェア損失率が高くなる可能性があります。キャンペーンをまとめることで、予算を効率的に使用できます。
CVR(コンバージョン率)とCPA(顧客獲得単価)の分析
キャンペーン別にCVR(コンバージョン率)とCPA(顧客獲得単価)を分析することで、どのキャンペーンが最も効果的かを判断できます。
指標 | 計算方法 | 目標値の目安 |
---|---|---|
CVR(コンバージョン率) | コンバージョン数 ÷ クリック数 × 100 | 業界により異なる(2%~10%) |
CPA(顧客獲得単価) | 広告費用 ÷ コンバージョン数 | 業界により異なる(数千円~数万円) |
ROAS(広告費用対効果) | 広告からの売上 ÷ 広告費用 × 100 | 100%以上 |
時間帯・地域別の分析
時間帯や地域ごとのパフォーマンスを分析することで、より効果的な広告配信が可能になります。
- 最もパフォーマンスが高い時間帯には予算を多く配分
- コンバージョンが発生していない深夜などの時間帯は配信を停止または減額
- 成果の高い地域は個別キャンペーンに分けて集中的に予算を投入
キャンペーン分け方のメリットとデメリット
キャンペーンを分ける方法には、メリットとデメリットがあります。どのように分けるかを決める前に、これらを理解しておきましょう。
キャンペーンを細かく分けるメリット
- 予算を商品・サービスごとに明確に管理できる
- ターゲットごとの成果を個別に分析できる
- 配信時間や地域を細かく制御できる
- 重要度の高いキーワードに優先的に予算を配分できる
キャンペーンを細かく分けるデメリット
- データが分散し、機械学習の効果が薄れる
- 管理工数が増加する
- 予算が細分化され、各キャンペーンで予算不足が発生しやすくなる
- 全体的な傾向を把握しにくくなる
キャンペーンをまとめるメリット
- データが集約され、機械学習が促進される
- 管理が簡素化される
- 予算を効率的に使用できる
- 全体的な傾向を把握しやすい
キャンペーンをまとめるデメリット
- 商品・サービスごとの予算管理が難しくなる
- 特定のターゲットに対する成果分析が複雑になる
- 特定のキーワードに予算が集中しやすくなる
機械学習を活かした最新のキャンペーン運用トレンド
2025年現在のリスティング広告運用では、機械学習を最大限に活用することが重要です。以下に最新のトレンドを紹介します。
データボリュームの確保とキャンペーン集約
Google広告のAIが効果的に学習するためには、十分なデータ量が必要です。キャンペーンを過度に分けると、各キャンペーンのデータ量が少なくなり、AIの学習効率が下がります。
少なくとも週30~50クリック、月間15~30コンバージョンを目安に、十分なデータ量を確保できるようにキャンペーンを設計しましょう。
スマート自動入札の活用
手動入札から「目標コンバージョン単価」や「目標ROAS」などのスマート自動入札に移行することで、Google AIが最適な入札額を自動的に設定します。
スマート自動入札を効果的に活用するには、以下のポイントに注意しましょう:
- 十分な学習期間(最低2週間)を設ける
- 頻繁な目標値の変更を避ける
- キャンペーン構造をシンプルに保つ
キャンペーン分析のタイムライン
Google広告の機械学習は学習に時間がかかるため、キャンペーンの効果測定や最適化にも適切なタイムラインが必要です。
頻度 | 確認・調整すべき内容 |
---|---|
毎日 |
|
毎週~隔週 |
|
月に一度 |
|
実践的なキャンペーン設計と数字分析の進め方
ここでは、実際にキャンペーンを設計し、数字を分析する手順を解説します。
STEP1:目標と予算の設定
まずは明確な目標と予算を設定しましょう。例えば:
- 目標:月間問い合わせ30件
- 予算:月間10万円
- 目標CPA:3,333円
STEP2:キャンペーン構造の設計
目標に基づいて、適切なキャンペーン構造を設計します。
基本的な考え方:
- まずは1つのキャンペーンで始める
- 十分なデータが集まったら、成果に基づいて分割を検討
- 指名キーワード(ブランド名など)と一般キーワードは分ける
STEP3:数字の分析と改善
運用開始後は、以下の手順で数字を分析し、改善していきます。
- インプレッション数、クリック数、CTR、コンバージョン数、CVR、CPAなどの基本指標を確認
- 成果の良いキーワード、時間帯、地域などを特定
- 成果の悪いキーワードを除外または調整
- 予算配分を最適化
数字分析では「なぜそうなったのか?」という視点を持つことが重要です。単に数値を見るだけでなく、その背後にある要因を考えましょう。
まとめ:キャンペーン設計と数字分析の関係性
リスティング広告のキャンペーン分け方は、数字分析の精度と効果に大きく影響します。現在のGoogle広告アルゴリズムでは、基本的にはシンプルな構造でデータを集約し、機械学習を促進することが効果的です。
キャンペーン設計のポイントをまとめると:
- データを集約するために、基本的にはキャンペーンをシンプルにまとめる
- 必要に応じて、予算管理やターゲティングの観点からキャンペーンを分ける
- スマート自動入札を活用し、AIの学習を促進する
- 定期的に数字を分析し、改善していく
数字分析のポイントをまとめると:
- 基本指標(CTR、CVR、CPA、ROAS)を定期的に確認
- キャンペーン、広告グループ、キーワードごとのパフォーマンスを比較
- 時間帯、地域、デバイスなどの切り口でデータを分析
- 分析結果に基づいて、予算配分や入札調整を行う
リスティング広告は「設定して終わり」ではなく、継続的な分析と改善が成功の鍵です。この記事で紹介した考え方やテクニックを参考に、効果的なキャンペーン設計と数字分析を行い、広告効果を最大化させてください。
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